ゆめ

 

久しぶりに夢を見た。
 
それは、残酷な夢だった。愛する者が死んでしまう夢を─・・。
 
 
 
 
01.ゆめ
 
 
 
 
 
「・・・骸」
 
 
雲雀が知っている骸よりも、幾分か背が高く、髪も伸びていた。
 
久しぶりに見た彼は、やはり雲雀には眩しかった。
 
そして愛しいと思った。
 
 
 
「恭くん。お久しぶりです」
 
 
 
骸の声。何にも変わってなかった。
 
ただ変わっていたのは笑い方。何か、優しくなったような気がする。
 
アレがこんなにも成長するのか。雲雀は素直に思った。
 
 
 
「うん。・・ねぇ、骸」
 
「何でしょうか?」
 
「デート、しよう?」
 
 
 
初めて誘った。こんなこと恥ずかしくて言えないけど、今言わないと骸がどこか遠くに行ってしまいそうで嫌だった。
 
でも、多分これは夢。だって、さっきまで風紀財団の部屋で寝ていたから。
 
 
 
「勿論。恭くんから誘って貰えるとは、思っていませんでしたね」
 
「早く行こう」
 
「はい。どこに行きたいですか?」
 
「海」
 
 
 
すぐに答えた。そうしたら、いつの間にか目の前には、夕焼けで真っ赤に染まった海があった。
 
綺麗だな。学ランが風に揺らされている。骸は、夕焼けと雲雀を交互に眺めていた。その視線を雲雀は感じていた。
 
ふいに、骸に抱き締められた。
 
 
 
「骸?」
 
「恭くん。ごめんなさい、もう…時間のようです」
 
 
 
生温い何かが、雲雀の顔にかかった。
 
 
─・・血だ。
 
 
骸の右目から、血が滴り落ちてくる。
 
 
 
「え、骸?」
 
「ほんとうに・・・すみません」
 
 
 
─・・ドサッ
 
 
抱き締めていた腕から力が無くなり、骸は倒れた。
 
倒れたまま、起き上がらない。
 
 
 
「むく・・・ろ?」
 
 
 
意味が分からない。何が起きているのか、理解できていない。
 
だって、先程まで隣で話していたのに。抱き締めていたのに。
 
ピクリとも動かない。
 
 
 
「起きてよ、骸・・!」
 
 
 
雲雀が呼んでも動かない。骸の体は冷えていくだけ。
 
人はいつかは死んでしまう。でも、骸ならまだ、笑って隣に居ると思っていたのに。
 
 
 
「骸・・・っ!」
 
 
 
 
 
 
 
「恭くん?!」
 
 
 
目の前に骸の顔があった。しかも、心配そうに覗き込んでいる。
 
その顔が見たばかりなのに、何故か懐かしく感じた。そして、
 
どこかに行ってしまいそうな気がする。
 
 
 
「っ、骸!」
 
 
 
雲雀はすぐに抱きついた。自分でも何でこんなことをしたのか解らない。
 
 
 
「骸、どこにも行くなよ?僕の隣に居てよ?」
 
 
 
涙を流すのは慣れていない。流し方を知らないけれど、自然に出てきた。
 
 
 
「僕を置いて死んだら、咬み殺すからねっ!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
我が儘かもしれない。でも、僕にとって君を失うのは、死ぬよりも辛いから
 
今までの鮮やかな世界が
 
色褪せてしまうから
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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2009/12/06
 
はい、しょうもないものを作ってしまいました。
すみません・・・。
久しぶりの更新だ…!!