迎えに来てよ

 

「・・え。ね・・え。・・・骸、起きなよ」
 
 
どこからか雲雀の声が聞こえる。
でも、居るはずがない。 だって、彼は日本に居るのだから。
 
 
「ねえ、いつまで、寝てるの?」
 
 
―‥ガン!
 
誰かに頭を蹴られた。
今ので完全に目が覚めた骸は蹴った主を見た。
そこには、今はいるはずのない人がいた。
 
 
「恭くん!!‥何故ここに?」
「何故って、君が早く会いに来ないからでしょう。僕が来てあげたんだよ」
 
 
学ランを着た雲雀を見て、懐かしいと思った。
再会できてとても嬉しい。 もう二度と会えないかと思った。
しかも、この姿の雲雀に。
 
周りを見回すと、吹雪の中、小屋で寝ていたはずだ。
でも、ここは、緑一面。草原の中だった。
 
 
「それでは、ここは?」
「知らない。夢の中じゃない?」
「なんと、投げやりな」
 
 
まぁ、そこが雲雀らしいが。
クフフ、骸が笑っていると雲雀がトンファーで殴ってきた。それを、ふわりと避けてみせる。
10年、雲雀と過ごしてきて、彼が何時、トンファーを出すかなど分かってきた。
 
ストンと、雲雀を骸の前に座らせた。
すぐに立とうとしたが、捕まって身動きが取れないようだ。
 
 
「何、するの」
「いや、久しぶりの恭くんですから」
 
 
真っ黒いまん丸頭を撫でてやる。
黒猫みたいに、頭を振っていやがる仕草がとても可愛い。
やはり、10年たってもあまり変わらない。
 
 
「もっと早く、恭くんに会いたかった」
「・・・僕もだよ」
(おや、今日は素直ですね)
 
 
いつもなら、「ふぅん」と言われ終わってしまう。
それに、今日はやけにおとなしい気がする。
 
 
「髪、伸びたんだね」
「あぁ、そうですね」
 
 
物珍しそうに見てくる。
でも、確か今会う前にも一度、姿を見ている気がするのだが。
それを言うと、怒って、今手で触っている骸の手を離してしまうので言わない。
 
 
「おやおや、そろそろ時間のようですね」
 
 
空間が歪み始めた。
この手の中に収まっている彼を放すのは勿体ないが、早く愛に行けばいい。
そうしたら、もっと話そう。
 
次に会うときは、今ここに居る君か、あの装置の中で眠っている装置か。
きっと、次は過酷な戦いが待っているだろう。
でも、君だけは僕が守るから。 この命(み)に変えても。
 
 
只、平和な世界で暮らせるように僕はただ願う―‥。
 
 
 
 
 
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2009/11/11
 
骸、脱獄おめでとう!!
早く雲雀の元へ!!
 
でも、やっとですよね。あれから10年。
めちゃくちゃ待ってましたよ。
これで、雲雀も幸せになれますね♪