桜の木の下で君に誓う

 

またこの季節がやってきた。桜が咲き誇る春が。
 
時々、出会いは大切と聞くが雲雀と骸の出会いは最悪だった。
この桜を見ると10年前のあの日を思い出す。骸と出会い闘った、あの日を。
 
でも、たったの一回しか会っていないのに雲雀は骸を好きになってしまった。
 
 
「クフフ、こんな所に居たんですね。…おやおや、もうこんな季節ですか」
 
「…骸」
 
「はい、何ですか?」
 
 
桜を眺めていたら骸が隣に立っていた。
いつもなら絶対に気付くのに、骸には気を許しているのか近くに来るまで全く気付かない。
 
そんな自分がいることに最近、気付いた。
 
 
「桜…、綺麗だね」
 
「そうですね」
 
 
風が吹いてきた。骸の10年で伸びた髪が風に遊ばれていた。雲雀はそれを眺めていた。画になるぐらい綺麗だと思う。
 
 
「恭弥。何百回も言いましたが、愛してます。今までも、そしてこれからも君を守ります」
 
 
骸がこちらを向き雲雀に言ってきた。守られるのが嫌なのに、骸が言うと素直に受け入れてしまう。なぜか心地いい感じがする。
 
返事の代わりに笑ってやった。笑うのはまだ慣れていないからぎこちないが。
 
 
「うん、ありがとう」
 
 
今はこれぐらいしか言えないのが嫌だけど、これからもずっとすぐ側に居てくれる。それが無性に嬉しかった。
 
 
 
 
 
毎年、出会ったその日から、僕たちは誓いあった。
 
これから先、何があっても共に生きると―…。
 
 
 
 
 
2009/11/01
みくり様へ、捧げます!!