笑ってよ

 

「沢田殿!!」
 
 
この数日、全く会えなかった彼がそこにいた。
マフィア間の抗争は度々あったし、今までの戦いから前よりも格段に強くなってはいた。
それに、ボスとして一瞬でも警戒を解かなかった。
 
 
「沢田殿!死なないで…ください!」
 
 
いつもは見せないバジルは、泣きながら自分を見つめていた。
ツナはバジルの笑った顔が一番好きだった。バジルの笑顔を見ると自分も幸せになるような感じがするから。
 
 
「バジル…君。笑って…よ」
 
 
もっと一緒に居たかった。ボンゴレ十代目としてではなく。ただの沢田綱吉として一緒に。もっと一緒に…。
そう願っているのに身体は思うように動かないし瞼が重くなってきた。
 
 
「バジル君。ごめん…ね。」
「喋らないでください!今、今から応急措置をします!」
「いい…よ。バジル君。俺からの…最後の、
お願い」
 
 
救急箱を開けるバジルを制止た。その手ももう力が入らなかった。
最後に。俺の最後の願い。それは…。
 
 
「もう一回、好きだって、言って。…笑って?」
「沢田殿。…好きです。この世で一番愛してます!だから、だから死なないでください!」
 
 
十年前。俺たちは出会った。毎日が修行で大変だったけど、楽しかったよ。
だって、いつも君は俺に笑いかけてくれたから。
本当は、もっと一緒に居たかったし。それにもっと二人で出掛けたかった。
もしあの頃に戻れるなら、今度はもっとたくさん笑って、遊んで二人だけの思い出を作りたいな…。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
2009/10/04
 
(2009/10/10
 
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