存在

 

 
 
―骸、絶対に死ぬなよ?
 
 
最後に聞いた言葉。それは、今の骸にとって達成できそうになかった。
 
(恭くん。すみません、約束…守れそうにありません)
 
死ぬのなんか怖くないと思っていたのに。彼の言葉が、存在が死の恐怖を初めて意識させた。
 
 
「骸。死ぬの?」
(おやおや、恭くんの声が聞こえます)
 
 
目の前に恭くんが居る。抱き締めたいけど体に力が入らない。
ぺた。冷たい手で恭くんが触れてきてくれた。
 
 
「こんなところで、死ぬの?やりたいことあるんじゃない?」
(もちろんですよ。もっと恭くんとの思い出を作りたい。それに…)
「それに?」
(僕は君と同じ所にはいけないでしょ)
 
 
たくさんの人を殺し、操り。僕が犯した罪は死んでも償えないと思う。
だから、彼とはもっと一緒にいたかった。
 
 
「それじゃ、生きればいいでしょ」
(クフフ。そうですね)
「ちゃんと死なずに戻ってきな。一つぐらいは何かしてあげるから」
(ありがとうございます)
 
 
前にいた恭くんはいなくなり現れたのは百蘭と闘い敗れた部屋だった。
 
 
 
 
 
貴方に会うまで、僕はまだ死ぬわけにはいかない。
また、貴方と共に歩むまで―…。
 
 
 
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